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2006年11月26日星期日

上海蟹が世界を滅ぼす?

 上海の秋の味覚として有名なのが、上海蟹である。この時期に上海にやってくる人の中には「上海蟹を食べたい」と言ってくる人も少なからずいる。それだけ「上海蟹」という名前は日本でも有名なのだろう。
 上海蟹は上海の郊外、陽澄湖で育ったものが良品とされ、高値で取引されるらしい。そのため、他所で育ったものを陽澄湖産であると偽って売り込むケースが後を絶たないとかで、正規の陽澄湖産のものにはタグがつけてあるとも、甲羅にレーザー光線で印をつけているとも言われている。
 上海蟹の味覚を表した言葉に「9月の雌、10月の雄」というのがあり、旧暦の9月は雌が美味しく、10月は雄が美味しいとのことである。これは旧暦を踏まえた表現のため、現在の暦では10月が雌の、11月が雄の季節ということになる。
 ところで上海蟹、学名はチュウゴクモクズガニという名前なのであるが、この上海蟹が世界の生態系を乱しているとの指摘がなされている。まずは毎日インタラクティブから、こちらの記事。

上海ガニ:後絶たぬ持ち込み 生態系乱す恐れ…2月から輸入禁止 /千葉
 ◇東京税関成田支署、パンフなどで呼び掛け強化へ 旅行客の土産、税関で任意放棄
今が旬で、フカヒレやスズメの巣と並んで中華料理の高級食材として名高い上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)。日本の生態系をかく乱するおそれがあるとして2月から持ち込みが規制されているが、成田国際空港では旅行客が土産として持ち込むケースは後を絶たない。東京税関成田支署は、パンフレットやポスターなどで、今後さらに呼び掛けを強化する方針だ。  
同署によると、上海ガニは2月、環境省に外来生物法に基づいて特定外来生物に指定され、事前の届け出がない場合は原則輸入禁止となった。上海ガニを持ち込もうとすると、税関検査場で任意放棄することになる。  
ここ数年、上海ガニは中国、上海便の旅行客が土産として持ち込むケースが増加。表にカニの絵柄が印刷された箱や発泡スチロール製の箱に入れてくるなど、旅行客も知らずに買ってきたのがほとんどだという。10月に13件212匹、11月は12日までの間に17件261匹が任意で放棄された。  
規制は、あくまでも国内での繁殖を危惧(きぐ)するための措置であり、既に死んでいる上海ガニの持ち込みは同法の適用外となる。同省成田自然保護官事務所によると、生きた状態で持ち込みしようとしている以上、結果的に死んでいても任意放棄することになるという。同所の担当者は「手荷物の段階で逃げ出すことも想定され、それを防ぐため」と説明する。【柳澤一男】 毎日新聞 2006年11月24日

 さらに、中国情報局の記事はこちら

上海ガニ:欧州で大繁殖、生態系の脅威に

 上海ガニがエルベ川など欧州各地の河川で大繁殖しており、現地の生態系にとって脅威となっている。2日付で環球時報が外電を引用する形で伝えた。
 問題となっている上海ガニはもともと中国の長江下流で生息していたが、欧州に向かう貨物船に積まれたバラスト水に混入していたものと見られる。雑食性で生命力が強いことから現地の生態系にとって脅威となっている。ドイツのメクレンブルク=フォアポンメルン州では淡水の水揚高が以前の半分となってしまった。
 ハンブルク大学の生物研究者は「上海ガニは今後数年間で西欧の全ての河川や港湾で見られるようになるだろう」「厳しい措置をとらないと上海ガニを絶滅させることができなくなる」と警告を発している。
 欧州では上海ガニを食べる習慣がないが、在住している中国人やベトナム人のために毎週200キログラムもの上海ガニを捕獲して、スーパーマーケットやレストランに出荷する漁師も現れたという。(編集担当:菅原大輔)

 上海蟹がその土地の生態系を乱している、あるいは乱すおそれがあるという記事である。
 貨物船が貨物を積んでいないとき、あるいは貨物を積んでいてもバランスを保つ必要があるときに、海水を船内のバラストタンクという場所に取り込むことで船のバランスを取ったり、船のプロペラが水面上で空転するのを防いでいる。上海で取り込んだバラスト水に上海蟹やその卵・幼生が含まれており、欧州側で貨物船が吐き出したバラスト水とともにこれらが吐き出されかの地で繁殖した、とされている。ただそれだけなら「ヨーロッパでも上海蟹が食べられていいね」ということになるのだが、事はそう単純ではなくこの上海蟹ことチュウゴクモクズガニの繁殖力がかの地の他の生物よりも強く、かの地の生態系を乱すという問題を起こしているとのことである。日本でアメリカザリガニやブラックバスが繁殖しすぎて生態系を乱しているとされているのと同じことである。
 このため上海蟹ことチュウゴクモクズガニは中国料理店以外では歓迎されていない。日本では上海蟹は「特定外来生物」(リンク先は日本の環境省のウェブサイトより)に指定され、生きた上海蟹は事前の届け出なしでは輸入禁止となった。上海で生きた上海蟹を買って日本に持ち帰ろうとしても税関検査場で見つかり次第任意放棄させられる、とのことである。
Img_2991  写真は浦東国際空港のカウンターにて。航空会社が上海蟹の持ち込み禁止を訴えている。「機内手持ち」というのは所謂機内持ち込みのことだろうが、それだけではなく預けるのも駄目なのだが、もっとも預けると貨物室で死んでしまう可能性が大きいのだろう。

 ところで上海蟹、足は細くて食べられるところは少ないし、食べるのも何かと面倒である。やはり足にたっぷりと身のついた日本の蟹をいただくのが美味しいと思うのだが、如何でしょうか。

(追記)trackback for 中国見聞録 上海駐在生活日記: 3年目の上海蟹。私の場合、上海蟹は外食先でオーダーするなど限られた場面でのみ食しているので、なかなか自分で積極的に、とはなっていない。

(さらに追記)アメリカでは、船舶が領海内に入る前に公海上でバラスト水を入れ替えることが求められるとか。「自由な国」の閉鎖的な一面ともいえるが、「公海の生態系」は考えなくてよいのだろうか。

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Comments

スーパーで、街中で、うじゃうじゃ見かけるあの蟹たち、
ヨーロッパで問題を起こしているんですね~。所変われば…。
私も肉に関しては断然日本の蟹が勝利です!

Posted by: ゆっこ | 2006年11月27日星期一 at 下午3:50

ゆっこさん、こんにちは。
この季節、上海の街中のみならず空港や駅で上海蟹の入った箱を提げている人をよく見かけますが、たまにならともかくそうしゅっちゅうは…という感じです。とは言いながら蟹粉豆腐をよくオーダーしたりしています。
タラバ蟹やズワイ蟹などの日本の蟹、上海でも堪能できる店はありますがお値段もそれなりでそう度々は行けません。

Posted by: はぎお@貴ノ浪世代 | 2006年11月27日星期一 at 下午9:16

ところで上海蟹、足は細くて食べられるところは少ないし、食べるのも何かと面倒である。やはり足にたっぷりと身のついた日本の蟹をいただくのが美味しいと思うのだが、如何でしょうか。

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上海蟹は足ではなくミソを美味しくいただく食べるものです。
中国で足を食べない人だっているんですよ。ミソと甲羅の中にある身だけを食べてね。贅沢な人ですよね。。。
だからもともと中国では誰も上海蟹の足に期待して食べているわけじゃないから、逆に中国人にとって日本の蟹のミソは上海蟹と比べて淡白であまり美味しく感じません。
まあ、食の文化の違いですね。

Posted by: Salye | 2010年9月3日星期五 at 下午12:24

Salyeさん、コメントありがとうございます。
確かに蟹全体の中でミソを楽しみ、ミソや甲羅の中の身だけを食べて他は食べないというのはとても贅沢ですね。
蟹粉豆腐も贅沢な料理と言えましょう。もっとも、前述の通り日本のカニのほうがそれでも良いのですが…

Posted by: はぎお@貴ノ浪世代 | 2010年9月4日星期六 at 下午10:59

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