« 「過去は変えられないけれど、未来は変えられる」 | Main | 日本亜細亜航空 »

2007年12月3日星期一

『水煮三国志』

 『水煮三国志』(成君憶著、呉常春・泉京鹿訳) という本を読んだ。
 現代中国で、劉備・関羽・張飛・孔明・曹操・孫権といった『三国志』の登場人物がビジネスでしのぎを削り、その中で人材管理・組織論・マーケティング・経営戦略といった経営学を説くという小説である。「三顧の礼」や劉備と曹操が英雄を論じる場面など『三国志』の名場面も、現代に置き換えられてこの小説の中に登場する。
 ビジネス小説としては、権限委譲や効率経営を実施する組織作り、さらにはインセンティブの与え方など、人材管理や組織論の部分が『三国志』に良く馴染んで頭に入ってきた。これらを取り上げるあたり、中国の企業や経営者にとっても組織作りや人材管理が今日の成否を握る鍵であり、注目されるべきポイントである、ということであろうか。

 が、『三国志』のストーリーを知っていれば、この本は『三国志』のパロディーとして面白く読むことができるのではないかと思う。あらすじはリンク先に書いてあるが、現代中国で劉備が苦学して大学を卒業し、義兄弟の契りをした関羽・張飛や軍師として迎えた孔明とともにカラーテレビ産業を渡り歩き、曹操・孫権といったライバル(商売敵)とやりあっていく、というのが基本ストーリーである。その中に『三国志』の登場人物やエピソードが現代に置き換えられて登場し、そのあたりが読んでいて面白い。
 「劉備の大学の恩師が盧植先生」だったり「関羽が曹操に別れを告げ、曹操から贈られた赤兎馬ならぬ赤いBMWに乗って劉備の許に馳せ参じる」などはもとのエピソードに青字の部分が加えられて現代に現れており微笑ましいが、「ミスキャンパスだった貂蝉がマルチ商法会社の社長である董卓の愛人になり、それを横恋慕した呂布が董卓を刺し殺してしまう」というのは…確かに『三国志』の筋書きではそうだったけれど現代中国でマルチ商法の社長にさせられてしまった董卓の立場はいったい…

 タイトルにある「水煮」は、水と油の中に唐辛子や山椒をたっぷり入れて具材を煮るという調理法である。かつて拙ブログでも「水煮魚」という料理を紹介したことがあるがこの水煮魚、かつての蜀の国=四川省が本場の四川料理(川菜)である。
 本の表紙にはローマ字で「Mizuni-Sangokushi」とも書いてあるが、「みずに」ではこの唐辛子と山椒の味がなかなか伝わってこない。
Img_2379_1 やはりここは「シュイチュー三国志(shui3zhu3三国志)」と読むと、この水煮魚の味が伝わり、本書のタイトルがわかるような気がする。(もっとも、『水煮三国志』では四川=蜀の話は後半に少し出てくるだけであるが)

|

« 「過去は変えられないけれど、未来は変えられる」 | Main | 日本亜細亜航空 »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73410/17267424

Listed below are links to weblogs that reference 『水煮三国志』:

« 「過去は変えられないけれど、未来は変えられる」 | Main | 日本亜細亜航空 »