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2008年3月4日星期二

現代の下放?-『激流中国 上海から先生がやってきた~貧困の村で~』-

 日曜日の夜、『NHKスペシャル 激流中国 上海から先生がやってきた~貧困の村で~』を見た。上海で大学生活を送っている大学生(女性)が、寧夏回族自治区の貧困地帯にある農村に行き1年間ボランティアとして高校の先生として過ごすという内容であった。このように1年間中国の貧困地帯に行きボランティアをするという取り組みが組織的に行われているとかで、様々な分野で10万人が農村に向かっているとのことである。

 「都市の学生が農村に行く」というと、文化大革命期に行われた「下放」を彷彿とさせる。当時は毛沢東の指導により強制的に青少年を農村に送り込み、都市の青少年に「農村から学ばせる」ことを目的としたものである。
 今回紹介された、農村へ向かう学生は強制されたわけではなく、ボランティアとしての参加である。中には成績アップとか就職に有利になるとかの理由で参加する学生もいるとのことである。しかしながら、都市の若者が農村に行き、その現実に接するという点ではかつての「下放」に似ているものがある。
 そして、当時の重点政策に基づいたものであり、参加することでその考えが浸透するというのも下放と共通していると思う。冒頭放映されたボランティアの集会で、ボランティアの代表が「格差のない社会をつくるため全力を尽くします」と述べていた。このスローガン、中国語では「为构建和谐社会 贡献力量」である。「和諧社会」、今日の中国であちこちで見られる言葉である。「先に豊かになれる者から豊かになれ」という鄧小平時代以降に中国は急速な経済発展を成し遂げたが、内陸部を中心にその恩恵を受けられない村や街があり、貧困を取り残したままの状態で格差が広がっていることを中国共産党も問題視している。その格差解消を目指すべく「和諧社会」=調和のとれた社会という旗印を掲げている。
 この学生も貧困地域の現実に接して、「和諧社会」について思うところがあったようだ。こうして「和諧社会」の考え方を学生に浸透させることができれば、それは中国共産党の指導層の望むところである。

 番組の中に出てきた村の学校の生徒たちは勉強熱心で、朝や夜は校舎の灯りを頼りに教科書をめくっていた。現実は厳しく経済的理由で進学を断念することもあり、そうなると現金収入を得るために出稼ぎや厳しい環境での労働を余儀なくされ、しかも職に就くのが難しいという悪循環のようだ。番組中では、姉は高校に進学するも弟は進学を断念し、農作業をして暮らしてきたが母親のケガがもとで借金をし、その返済のために現金収入が必要になり出稼ぎに行くもなかなか職が見つからないという状況が描かれていた。そんな厳しい、捨て鉢になってもいいような環境の中で、更なる進学や卒業後の進路を夢見て勉学に励む生徒の姿が印象的であった。

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Comments

どうも、またお邪魔してます。
私もまた見ました、激流中国。

ボランティア先生が「自分が今までいかに大切に(苦労せずに)育てられてきたかがわかった」というようなことを言ってる場面が心に残りました。

日本は(親のお金で)大学までいって当たり前になっていますが、経済的理由で進学できない、進学以前に生活を背負って立たなくてはならない、そんな若者たちが大勢いるのだと思うと、自分の甘さ加減というか暢気さというかそういったものが恥ずかしくなります。

Posted by: aizi | 2008年3月4日星期二 at 下午12:51

aiziさん、こんにちは。
経済的な面で苦学しないに越したことはないのですが、東西を問わず意欲と能力のある人、あるいは一生懸命に生きている若者が経済的理由で将来を閉ざされることがないように願いたいものです。
ボランティア先生の家族が送別の宴をしてくれた時の豪華な料理と寧夏の学校で生徒が主食にしていた具のないパン「馍馍」とのギャップ、そして借金が高利(確か月利9%!)だったのも記憶に残りました。この村にはセーフティーネットも行き届いていないのだということを感じました。

Posted by: はぎお@貴ノ浪世代 | 2008年3月4日星期二 at 下午9:52

こんにちは、在日中国人留学生です。
本当に感動しました。是非、腐敗が多く官僚たちが、これを見て、恥を感じてください、分配不平等である内陸の方に、なんかをしてあげなさい。ご飯を食えない人がたくさんいる一方、たくさんのお金を使ってオリンピックまでやるのは、今も、不理解です。オリンピックを主催するお金がさえあれば、農村の子供たちに援助しなさい。

Posted by: | 2008年4月1日星期二 at 下午2:49

こんにちは。
国の上層部もその矛盾には気付いていて放ってはおけない(そこの人達のためにも、国の維持のためにも)ということで「和諧社会」を唱えてはいますが、格差解消は難しいでしょうね。

Posted by: はぎお@貴ノ浪世代 | 2008年4月1日星期二 at 下午10:14

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