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2008年5月30日星期五

『NNNドキュメント'08 中国が日本を捨てる日』

 約1ヶ月前に放送された『NNNドキュメント'08 中国が日本を捨てる日』、暫く経ってから見たのだがいろいろ他のことをブログに書いていたので触れるのが遅くなった。
 先の餃子中毒事件を起こした日本生活協同組合連合会(生協)の傘下にあるコープさっぽろが具も皮に使う小麦粉も「北海道産」にこだわった餃子を作ろうとしたが、コストが中国産の5倍になってしまい試食会では値段の面で不評だったこと、食料自給率が39%にもかかかわらず折角日本で生産した野菜が価格競争に負けて出荷前に「生産調整」の名のもとに廃棄されることをまず番組は伝えていた。さらに中国・山東省の食品加工工場では日本人経営者でさえ馬鹿馬鹿しいと言う「同じ形、同じ大きさ」への加工をしていることを伝え、山東省の農家での取材では日本人好みの「きれいな野菜」を作るべく今まで使っていなかった虫食いをなくすように農薬を使い、その農薬を使うということは日本側からの要求であると述べていた。そしてある農家は厳しい要求に疲れて「日本向けの野菜の生産はやめたい」とさえ言い実際に国内向けの生産に切り替えたことが画面から伝えられてきた。

 以前、都内の農産物直売店で、千葉県産の低農薬の野菜に虫食いがあったり味噌にカビが生えやすいのを「中国産じゃないの」と言っていた人のことを拙ブログに書いた。こういうことを言う人にとって、「品質の良さ」というのは「安全性」なのか、「見た目のよさ」なのか。勿論これらは両立すべきではあろうが、低農薬を売り物にしている店に来て低農薬の象徴である虫食いを、その人にとって「品質の悪さ」の象徴である「中国産」と言うのは・・・さらにその中国では日本にあわせて農薬を使っている人もいる、と言う。

 9年前に、『NHKスペシャル 豊かさの限界』という番組があった。日本マクドナルドの創業者が「12歳までに覚えた味を『おふくろの味』」と感じて将来に渡って食べ続けるようになる」というようなことを言っていたので覚えていたのであるが、この中で中国の畜産農家が初めて米国産の飼料を見せられ、アメリカの穀物会社の説明を受けて試しに使ってみましょうと言っていたのを覚えている。何でも牛肉は普通は硬くてあまり美味しくないのだが、飼料を使うことで食べやすくなるのだそうである。当時中国の都市部では外食産業が発達し、外で牛肉を食べる人が増えていた頃だそうで、中国の食生活の変化をそれより少し前の日本における変化とダブらせて伝えていた。
 それから9年が経ち、日本では中国産の食物が多く出回りそれゆえに問題が起こった一方で、他方その中国は食料輸入国に転じているという現実がある。我々が思う「安く供給してくれる中国」はこと食料の分野に関してはなくなってしまうかもしれない。


 『中国が日本を捨てる日』では、日本の食料自給率を39%と伝えていた。この数字は農林水産省説明によるとカロリーベース自給率とのことである。放送大学のテキスト『市民と社会を考えるために』では日本の国土には本来3~4千万人しか住めないと述べていたが、確かに「いまの自給率での食料」と「本来住める人口」は略均衡し、よく言われる「自給率アップ」では到底追いつかず足りない分を貿易で補う、という算段になる。私自身も食物の生産能力はなく、国内外の他の人が作ったものをいただく立場である。
 いろいろと話が飛んだが、結局その原因自体はうやむやになりつつある餃子中毒の影にはいろいろな問題が内包されており考えさせられる、ということである。生産できない私にせいぜいできることは、食べ物を食べられる程度に健康である限りにおいては食べ残しをしない、食べ物の大切さを感じつつ食べ物を戴くというごく当たり前のことと、「食の安全」とは何かを考えることであろう。人体に害を及ぼすのは論外であるが、農薬を使うことの意味、減らしたり使わないことの意味はわきまえて勘違いしたことを言わないことが大切だと思う。
 そして、いつも思うことながら中国という国が刻々と変化し、さらにいろいろな顔を見せていることも意識したい。いつまでも「食料を輸出する国」だとそれこそステレオタイプで思っていると見誤ることもあろうし、沿海部で見える外食産業の豊かさが中国全土を代表しているわけでもない。

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