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2008年5月24日星期六

台湾と中国との「距離感」

 やはりMSN産経ニュース記事

4時間で募金7億円 台湾で高まる「同胞意識」

 中国・四川大地震の発生以来、台湾では中国に進出する企業などが相次いで義援金の提供を発表、市民レベルの募金も活発化するなど中国への「同胞意識」が高まっている。地元テレビが18日夜、放送したチャリティー番組には台湾の人気歌手らとともに馬英九次期総統も参加、市民らから4時間で約2億2000万台湾元(約7億4000万円)が集まった。
 国民党関係者は、こうした動きについて「関係改善を目指して新政権が進める対中政策に有利だ」と指摘。馬氏は地震発生後、「人道的観点と中華民族の1人として」20万台湾元を寄付すると公表、台湾の人々に支援を呼び掛けていた。台湾の行政院(内閣)大陸委員会には19日現在、約2700万台湾元の寄付金が寄せられたほか、台湾メディアによると、台湾企業の寄付は既に約30億台湾元に達した。(共同)

 馬英九総統(記事の時点では総統予定者)が言う「人道的観点と中華民族の1人として」、また某国の都知事からツッコミを受けそうな言い回しであるが・・・
 前回台湾の中国との距離のとり方は難しいものがあると書いた。もはや政治的には「中華民国が今でも全中国を支配している」という建前は絶対視されなくなり、社会的にも台湾アイデンティティは進んでいる。他方、歴史的に台湾の人たちのルーツをたどると大陸から渡ってきた人たちが少なからずというか多数になる訳であるし、かつて清王朝の統治下にあったこともある。身近なところでは中国の歴史に基づいた時代劇がテレビで流れているし、台湾・香港・中国の間では歌手や俳優が行き来しており台湾の歌手で大陸でも有名な人は多い。
 かつて台湾では中国史を「自国の歴史」として教え、中国の地理を「自国の地理」として教えてきたことがある。その後台湾アイデンティティが高まった1990年代後半から『認識台湾』課程という、台湾を郷土と認識する課程が設けられ、その後21世紀になりこの課程が社会科に吸収されたときにやはり建前は薄れ中国を相対化して見ることができるような学習の仕方になったと理解している。
 都知事の言葉にあった「台湾は台湾なんだ」と思いつつ、歴史なり社会なりに中国とのつながりが意識されあるいは無意識のうちに周りに転がっている中で、「中国」という存在を踏まえて「自分たちは(中国ではない)台湾なんだ」となるのであろう。そして逆に、「中国」というものにある種の特別な、日本や他の国とは違う意識を持つのだと思う。
 私は台湾人ではないので本当に根付いている意識を身をもって感じることはできず、この手のことを書くのには限界があるのだが、記事中の「同胞意識」という言葉に違和感を感じつつ数年前に学んだことを思い出してみた。

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