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2008年6月25日星期三

『激流中国 病人大行列 ~13億人の医療~』

 1週間以上前に放送されたこの『激流中国 病人大行列 ~13億人の医療~』だが、いろいろ考えさせられる番組だった。
 救急車で運び込まれた患者の付き添いの人に対して、到着後すぐ救急車利用料を要求し、治療の直前に診察料を前金で要求する北京の大病院。その病院には診察券を求めて徹夜で長蛇の列。ダフ屋が出るほどである。さらに、その病院で目の治療をするためにはるばる安徽省からやってきた子どもと、彼の治療代の工面に苦労する両親・・・
 治療代の工面に苦労するのは、日本の健康保険のような全国レベルの公的医療保険がなく、互助会的な医療保険も入院しないと肩代わりしてもらえないとかで治療代が全部自己負担になってしまうのである。意外なことに中国には全国統一の公的医療保険がなく、公務員や一部国営企業のように医療保険を用意してもらったり、あるいは企業が独自に保険を用意してカバーしたりといった枠内に収まっていない人たちは集団での医療保険の対象外、ということになる。前述の一家が加入していた互助会的な医療保険は入院までしかカバーせず、わざわざ北京まで行っても通院での治療は対象外なのであった。
 「和諧社会」を目指しながらも、医療保険にも格差があり、しかも都会の大企業勤めほど手厚い医療保険にありつける確率が高い、というのはその理想とは相反しているといえる。ミニマムの公的医療保険さえも用意できていない、というのが現状である。
 以前この「激流中国」で紹介された、上海の学生が先生として赴任した貧困地帯の農村では、当座の生活費を工面するのにも月利9%でお金を借りなければならない場面が紹介されていた。今回紹介された公的医療保険の未整備も含め、本来セーフティネットで保護されるべき対象が、セーフティネットでカバーされていないのである。中国の経済成長の恩恵に浴していない人は、次々とあらゆる方面で取り残されているのだということを考えさせられた。
 さらに、この子どもは目の病気が安徽省では治らないと診断され、北京へ行く前に手遅れになり片目は手遅れになってしまったとのことである。難病なら「北京でしか」というのもあるかもしれないが、せめて安徽省でも省都など都市部に行けばたいていのことは治るようでないといけないのではと思うが・・・安徽省の省都である合肥には何度か行ったことがあるが、医療が行き届かない環境、という雰囲気はなかった。中国自体が広大な国土を持つのだが、わざわざ北京まで行かずとも地域の大都市でだいたいのことができ、手遅れにならない、というのが理想だろう。
 「和諧社会」への道は遠そうである。

 セーフティネットの危機については日本も他人事ではない、ということがやはりNHKスペシャルの1つ、『セーフティーネット・クライシス~日本の社会保障が危ない~』で紹介されていた。事情は細かいところで違うが、健康を維持し、さらにある程度の生活をカバーする体制は東西を問わず必要だろう。

 最後に1つ、北京の大病院、救急医療にも前金を要求するのはどうかと思うが・・・重症だった場合、本当に「カネが命を左右する」ことになってしまう。病院は踏み倒しを懸念しているようだが、救急医療というのはそういうものではないと思うが・・・

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