« 「アジア民族造形の旅 暮らしの多様性」@旧新橋停車場 | Main | 映画『小さな中国のお針子』 »

2008年11月26日星期三

『甘苦上海』

 この9月末から、日本経済新聞の連載小説が高樹のぶ子著『甘苦上海』になった。と言っても、私は日経新聞は読んでいるが連載小説は普段読んでおらず、この小説に連動したウェブサイトができたとNIKKEI NETに書かれていたのを見て初めてこの小説の存在を知った。
 過去の分から読み返してみた。上海でエステサロンを経営する51歳の日本人女性と、新聞記者の職を辞して上海で大学院生をやっている39歳の男性との奇妙ともいえる逢瀬がここまでは描かれている。「逢瀬」と書くと、日経新聞の連載小説では過去の話題作というか問題作、『失楽園』や『愛の流刑地』を思い浮かべるが、それらほどのしつこい表現はなくむしろ「その場面」はあっさり過ぎる程に軽く描かれ、ここまでは心理的駆け引きに重きを置いて描かれていると言えよう。

 この小説、第1章のタイトルが「長楽路五二弄三号楼」、第1話で主人公・紅子が運転手に対して発する台詞が「新楽路まで行かないのよ、長楽路で右に折れてね」である。このほかにも上海の地名や建物の名前が小説に現れそして重要なシーンで登場し、かつて上海に住んでいた者としては当時の光景が目に浮かぶし地名が出たりすると懐かしくも思える。旧フランス租界がよく出てくるが、やはり小説の題材として相応しいのだろうか。
 かつて拙ブログで上海を舞台にしたテレビドラマに見られたかの地の光景をアップしたことがあるが(1)(2)、小説では映像が直接出てこない。テレビドラマと違いその光景を見ることはできないが、むしろ映像がない分だけ上海への想像が掻き立てられることもあるだろう。
 第1話を読むと、延安中路から陝西南路に入り、そこから長楽路へ入るようだ。「長楽路で右に折れてね」と指示すると、番地が大きいほうに向かい「五二弄」には着かないようなな気がするのですが、長楽路の番地の付け方ってそうでしたっけ?まぁ小説なので突っ込むのは野暮なのかもしれませんが…

Img_2365  第30話に、紅子がその男性・京に東湖路にある「エル・ウイリー」で食事をしないかと誘われる場面がある。この店は実在するようだ(店のウェブサイト)が、私がいた頃は別の店が古い洋館を改装してオープンしたばかりであった。店の入れ替わりが激しいようだ。




 それから写真はないが、新楽路x襄陽路にある「首席公館酒店」というホテルが登場する。やはり洋館を改装したホテルであるが、宿泊料を聞いたところとても高くて「出張者の宿泊先」には使えない値段だった記憶があるし、小説のようにラブホテル代わりに使える値段ではなかったと思う。
 「エル・ウイリー」の近くで私は「ひとり火鍋」を食していたし、首席公館酒店から歩いて1分の新楽路では「冷面」や一皿2元の餃子を食していた。「ひとり火鍋」もかの地にしてはいいお値段だと思うが、何れにせよこの小説の登場人物とは住む世界が違うのだろう。

 今後も見どころ(突っ込みどころ?)があればぼちぼちと。

|

« 「アジア民族造形の旅 暮らしの多様性」@旧新橋停車場 | Main | 映画『小さな中国のお針子』 »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73410/43238506

Listed below are links to weblogs that reference 『甘苦上海』:

« 「アジア民族造形の旅 暮らしの多様性」@旧新橋停車場 | Main | 映画『小さな中国のお針子』 »