『中国時報』斜め読み
西班牙旅行記は1回お休み。
上海の少なからぬ喫茶店では、台湾の新聞を読むことができる。置いてあるのはたいてい『中国時報』か『聯合報』。今日喫茶店で最近の『中国時報』を数日分まとめ読みした中からいくつかピックアップ。
さて、始めは今日(5日)付けのトップ、台湾の陳水扁総統が「台湾独立は必要」と言ったとされる記事であった。同様の内容を毎日インタラクティブから引用。
台湾:陳総統「新たな考え」 独立「必要」、路線問題「ない」
【台北・庄司哲也】台湾の陳水扁総統は4日、台湾独立や新憲法の必要性を訴える「四つの『必要』、一つの『ない』」と名付けた新たな考えを発表した。陳総統は00年5月の就任演説で、在任中は独立宣言や国号(国名)を変更しないなどとした「四つの『ノー』、一つの『ない』」という方針を表明したが、それに反する内容で、台湾独立を警戒する中国の反発を招きそうだ。
陳総統が掲げた四つの「必要」は(1)台湾独立(2)台湾名での国連加盟(3)新憲法制定(4)台湾の発展。一つの「ない」は「台湾には左派、右派の路線問題は存在しない」。4日夜に行われた会合での演説の中で発表した。
ただ発言の真意は、李登輝前総統による批判を意識したものとみられる。李前総統は台湾の週刊誌などで「台湾は統一か独立かを争う無意味な闘争をすべきではない」などと発言し、陳総統の姿勢を批判していた。毎日新聞 2007年3月5日 東京朝刊
この発言自体が李登輝が行った陳水扁批判への対抗とされている。『中国時報』でこの陳水扁の発言に触れた記事の下には、李登輝が『陳水扁はスローガンばかり』と述べたとされる記事が掲載されていた。
(1)の「台湾独立」は、「台湾は既に独立状態にあり今更宣言をする必要もない」という主張に対し、敢えて独立をアピールすべき、というもの。
(3)であるが、台湾は1949年に国民党政権が台湾に逃れてきてからも「我々こそが全中国を代表する」という建前で、国共内戦中の1947年に施行された憲法をそのまま台湾で適用していた。そのため例えば台湾の立法院や国民代表大会(日本の国会、と思ってください)は「議員を全中国から選出する」ということで江蘇省選出議員やら湖南省選出議員やらというのがいて、彼らは選挙ができないという理由で長いこと居座り「万年議員」となるなど、台湾のみの憲法としては矛盾があった。この矛盾を解決すべく、「自由地区」すなわち現在の台湾の支配圏のみで各種選挙ができるようにしたり行政制度や地方制度を定めたりといった「追加条文」を当初の憲法に追記している、というのが現在台湾で施行されている憲法の状況である。つまり、大陸を想定した『中華民国憲法』に書き足しをして運用している、ということである。こうした「大陸の憲法」から「台湾の憲法」に衣替えしよう、というのが上記の「新憲法制定」である。
某国の首相は改憲の根拠として「憲法制定の過程」にこだわっているが、台湾では「前提」さえも異なっているのである。
2000年に陳水扁が総統に就任したときには「4つのノー」、つまり独立を宣言しない、国号を(中華民国から台湾に)変更しない、2国論を憲法に盛り込まない、統一か独立かを問う国民投票はしない、と言っていたのだが、国民投票は前回の総統選時にやってしまった上に「4つの『必要』」に変わってしまった。
「台湾の将来は台湾人が決める」わけであるが、こと陳水扁に関して言うと「うまくいかない時にスローガンを発する」「スローガン先行」という印象が否めない。今も夫人の裏金疑惑の只中だし、以前書いたが企業名から「中華」を外し「台湾」の文字を冠しようと言い出したところ立法院選挙で少数与党から脱することができなかったりと、うまく立ち回れていない感じがする。こういう発言は死に体でないところや窮地に立ったときでないときに発して欲しかった、という感じがする。
その陳水扁であるが、不確実な噂をもとに政敵の宋楚瑜が中国共産党の人物と密会したと言ったとかで、裁判で敗訴して300万台湾元の損害賠償と謝罪広告の掲載を命ぜられたと別の日の『中国時報』1面に報じられていた。控訴可能とのことだが、何かとうまくいきませんな。
もう1つ、先月2月28日は「2・28事件」60周年だった。本省人(台湾にもとからいた人)による、国民党や軍やそれらに属する外省人(大陸から来た人)に対する抗議運動とその弾圧から60年、翌3月1日の『中国時報』3面では台湾の政治学者・呉乃徳の演説全文として「我們還有一件事情沒有做到」という文章が掲載された。2・28事件以来生じた本省人と外相人の溝に代表されるように分裂する社会を、まとまりを持った社会にして行こう(つまりこうした台湾市民の融合が「一件事情還沒做到」)、という内容だと読んだ。
台湾の新聞は芸能面にもかなりのスペースを割いている。3月4日・5日とも芸能面のトップは日本人。最近韓流が台頭していても日本の芸能ネタはやはり欠かせないようだ。4日は伊東美咲のこと(内容はよく読まなかった)、5日は宇多田光の離婚と飯島愛の芸能界引退の記事がトップだった。宇多田光の写真が掲載されていたが、非常にふくよかになっていたのが印象的であった。いつごろの写真を使ったのだろうか、あるいは写真が横に伸びていたのだろうか。


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